こんにちは!製薬業界で働くLapinです。
今回は製薬企業の営業として働くMRについて解説していきたいと思います。
そもそもMRとは?MRはどんな仕事なの?
医療関係者に医薬品の情報提供をすることで適正使用を促す仕事
MRの正式名称は「Medical Representative」といい、一昔前までは「プロパー」と呼ばれていました。「representative」とは「代表者」と意味し、企業を代表して病院や薬局などを訪問して医薬品の情報を提供・収集・伝達することで医薬品の適正使用を促して医療に貢献する仕事です。実はMRはGVPと呼ばれる省令に定義が記載されています。
適応外の使用方法をしていないか適切な使い方の普及や(この点については最近は糖尿病の治療薬が適応外であるダイエット目的に使われてことが増え、一種の社会問題へとなりつつもありますね)、治験では得られなかった副作用情報を現場から入手することに一役買っています。もちろん営業という立場ですので、自社医薬品の特徴を医療関係者に伝えることで採用してもらい、必要とする患者さんに処方してもらうことが主な業務内容となります。
余談ですが日本で最初のMR(プロパー)は1912年にスイスのロシュが日本進出にあたり、病院の薬局長から転身した二宮昌平さんと言われております。
1日の仕事の業務の流れとしては、朝は医薬品卸を訪問し、MSと呼ばれる卸の営業担当やほかのメーカーのMRと情報交換し、その後は医療機関を訪問していきます。今はコロナ禍ということもあり、特に勤務医の先生とはWEB面談することも多くなりました。また、日常の訪問活動に加えて講演会などを企画・運営することもあります。また、基本的に社用車で移動することになりますので運転免許は必須ですね。医療機関ではパンフレットなどの資材を使って話したり、説明会の時間をもらってプレゼンを行います。MSと同行して一緒に先生方と話すことも多々あります。
MRの魅力とは
やはり一番は患者さんへの貢献ではないでしょうか。直接患者さんと話をする機会はありませんが、先生方の治療の手助けをすることが出来ます。先生方は日常診療や学会などに追われ、薬剤の情報を能動的に入手することが大変です。MRからの情報提供を通じて初めてその薬剤を認知するということも少なくありません。実際、病院で採用されていることも知らなかったということも多々あります。MRが活動することで治療の選択肢を増やしているといっても過言ではないと思います。
また、専門的な知識を身に付けることが出来るのも魅力の1つではないでしょうか。製薬業界ではどんどん革新的な医薬品が登場していき、仕事をするうえで必然的に勉強量も増えていきます。医師や薬剤師という医療の専門家を相手に日々相手にしていますので自社医薬品の知識はもちろん、他社製品や医療制度にもどんどん詳しくなっていきます。いつか自分が病気にかかった時にはこの知識は絶対に役立ちますね。
そして医薬品メーカーの福利厚生・高給取りは大きな魅力ではないでしょうか。全国転勤がついて回りますが、家賃補助・借り上げ社宅制度、日当制度、営業車の私的利用制度などがあります。もちろん会社によりますが、他の業界に比べて手厚い印象があります。特に日当は外勤業務をした分だけ非課税で貰える点が魅力的です。廃止するメーカーも出てきているため不安に感じる方もいらっしゃるかと思いますが、まだまだ残る会社はあるかと思います。これらの福利厚生だけで額面には表れない収入となりますが、これをら抜きにしても医薬品メーカーは高収入であることが知られています。
AnswersNewsの公開した集計を参考にしますと、2022年の日本の平均年収403万(doda発表)を超える会社は公開されている85社すべてが超えており、2倍の806万を超える会社は33社もあります。比較的高い収入が得られていることが伺えます。内勤職も含まれておりますので、この平均年収に日当が乗ってくることを考えるとMRはやはり高給取りと言えるのではないでしょうか。
MRの今後の見通しについて
MRの良い面ばかり触れてきましたが、今後のMRの見通しについても触れていきたいと思います。この業界では「MR不要論」というが以前から話題になっています。これには歴史的背景を考える必要があると思います。以前プロパーと時代は企業間での販売競争が激化した時代でもあり、過剰な接待など不適正な販売行為が横行したことがありました。このこともあり、製薬業界=金儲けに走っているという考えが根強い方もいると聞いています。このような不正行為を正そうと「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」というものが作られ、現場で話せる情報も制限がかかるようになりました。
また、MRの数は相次ぐ早期退職、新卒採用数の減少により2013年の6万5752人をピークに、「MR白書」によるとMR総数は2023年3月末時点で4万9682人となっています。今後もこの減少傾向は続くとみられます。
(MR認定センター:2023年版 MR白書 -MRの実態および教育研修の調査-をもとに作成)
しかし、私はMRの数は減少したとしても決して「不要」になることはないと考えています。あくまで「過剰」であるだけだと思います。先ほど述べたように市販後の情報収集や適正使用の推進には欠かせない存在であり、いくらネットで簡単に情報にアクセスできるようになったからと言っても先生が分からないことがあれば真っ先に連絡するのはMRです。企業側としても医療機関で採用してもらわないと売上増加は見込めないのですべてをなくすことは出来ません。コントラクトMRという外部のリソースを利用することもありますが、ベースとしては自社で賄っています。
今後は情報の質の高いMRやリプライが早いMR、リモート面談スキルが高いMRが残り、少数精鋭で広いエリアをカバーするようになってくると考えられます。実際に私も早いうちから大学関連施設を持ち、県をまたいで活動させてもらっていました。リモート面談はかなり有効である一方、新規採用や適正使用推進の面では先生だけではなく看護師や技師さんとも話すことも大事な時間だったので、リアルで訪問するメリットも感じていました。
今後MRを目指す方はぜひ志望する企業の以下のポイントに注目してみてください。
- パイプラインの数(特に第3相臨床試験の数)
- 過去に早期退職を行ってるかどうか
- 営業日当の有無
- MR数(エリアの広さの指標になる可能性あり)
- 先発or後発メーカー(まず入るなら先発メーカーをおすすめします)
企業ホームページのプレスリリースなどをみると頻回に更新している企業とそうでない企業に分かれている印象があります。後者では特に開示する情報がない=つまり試験も進んでいない可能性などもあるかと思いますでのぜひ参考にしてください。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございました。2つ目の投稿ですが、MRの仕事についてまとめてみました。少しでも誰かの参考になれば幸いです。