処方箋なしで医療用医薬品が購入できる!みたいな広告をみたことはないでしょうか。
零売って名前は聞いたことあったのですが、実態はよく知らなかったので調べてみました。
零売薬局について
そもそも零売とは?
簡単に言うと、処方箋なしで医療用医薬品について販売すること。
え?医療用医薬品って処方箋ないと販売しちゃいけないんじゃないの?
零売を理解するうえで、まず医薬品の分類について理解する必要があります。
引用元:厚生労働省 医薬・生活衛生局 総務課 処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売について 第1回 医薬品の販売制度に関する検討会 資料3
医薬品は上記のように薬機法において分類がされています。OTC医薬品として、ドラッグストアなどで購入できるのは要指導医薬品/一般用医薬品で、そのほかは薬局医薬品と言って医師や薬剤師等によって使用されることが目的の医薬品に分類されています。
薬局医薬品のうち、処方箋医薬品は名前の通り医師が診察の上で出す処方箋がないと販売・授受できませんが、一部処方箋医薬品以外の医療用医薬品が存在します。それらは昔から使われている解熱鎮痛剤やビタミン剤など、一般用医薬品としても流通している医薬品です。これらがいわゆる”零売”と呼ばれる形態で販売されています。
ただし、処方箋以外の医療用医薬品といえど処方箋医薬品と同様に医師や薬剤師等によって使用されることが目的であり、原則として処方箋は必要となっています。
また、零売は保険適応外になるので自己負担額処方箋医薬品い比べて高くなります。
なぜ処方箋なしで医療用医薬品が授受されているのか
厚労省が2005年に突出した「処方せん医薬品等の取扱いについて」(薬食発第0330016号厚生労働省医薬食品局長通知)が根拠になっており、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の薬局での販売を条件付きではあるものの認めるというものでした。その後「薬局医薬品取扱いについて」(平成26年3月18日付け薬食発0318第4号医薬食品局長通知)というのもでています。
販売を認める条件とは?
販売を認める根拠となる薬局医薬品の取扱いについてをみると、下記のような記載があります。
一般用医薬品による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で、第3の事項を遵守するほか、販売された処方箋医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等との相互作用・重複投薬を防止するため、患者の薬歴管理を実施するよう努めなければならない。
引用元:薬局医薬品の取扱いについて(平成26年3月18日付け薬食発0318第4号医薬食品局長通知)
販売時に遵守する事項は
- 販売数量の制限(必要最小限)
- 販売記録の作成(2年間保存)
- 調剤室での保管・分割
3つが留意事項としてあげられています。
医療機関の受診を推奨し、3つの留意事項を満たしていればやむを得ない状況では販売できる旨が記載されています。
では実際にやむを得ず販売を行わざるを得ない場合とはどのような場合なのか
実は具体的な状況等は明記されていません。
そのため、常習的に医療用医薬品を販売する薬局が相次いでおり問題となっています。
いわゆる「法の抜け穴」が存在していますね
零売の問題点
零売は本来、病院に行く時間がない中で薬剤師に相談して医薬品を購入できるなどの利点がありました。健全な零売をしている薬局もあるかと思います。
しかし、原則として処方箋は必要という考えを逸脱し、処方箋なしで購入できる点を押し出している薬局が見受けられています。
- ステロイドなどの薬剤も販売されており、副作用の懸念
- 適応外での使用の助長
このような問題がいずれ表面化してくることが懸念されます。
今でもダイエット目的での糖尿病治療薬の使用が問題となっているので、似たような問題が起きることは想定内です。
零売の規制強化
今までに医師会や各学会より、安全面の観点から問題提起がされていました。
こうした流れを受け、厚生労働省でも零売については懸念を示しており、規制強化の動きを見せています。
今後の動向が気になるところです。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございました。
零売はメリットもあるのですが、一部不適切なプロモーションを行っている薬局が目立っているせいでマイナスをイメージがついてしまっている印象を受けました。
一番の原因は「やむを得ない場合」の定義が不明確で捉え方次第で自由に販売できてしまうことだと思うので、この辺りをはっきりとしてもらいたいなと思います。