ビタミンの健康への重要性と種類について

医療用語解説


ビタミンは、健康な生活を送る上で欠かせない栄養素の一つで、私たちの体が正常に機能するためには、ビタミンが必要不可欠です。

今回のブログでは、ビタミンの役割や種類、それぞれの健康への影響について詳しく説明します。

ビタミンとは何か?

ビタミンは、身体の正常な成長や代謝、免疫機能などに不可欠な有機化合物です。三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)とミネラルと合わせて五大栄養素と言われています。基本的には体内では合成されないため、食事やサプリメントから摂取する必要があります(例外はビタミンD)。ビタミンは、水溶性と脂溶性の2つの大きなカテゴリーに分類されます。

1.水溶性ビタミン

水溶性ビタミンには、ビタミンB群とビタミンCが含まれます。特徴として体内にあまり蓄積されずに尿中に出てしまいがちなので、日常的に摂取することが望ましいとされています。水に溶けやすく、熱に弱い特徴があります。

ビタミンB群には、ビタミンB₁(チアミン)、B₂(リボフラビン)、ナイアシン、パントテン酸、B₆、ビオチン、葉酸、B₁₂があります。

ビタミンB₁

乳酸を分解してエネルギーに変える手助けをしており、疲労回復に働きます。また、アルコールの代謝にも必要な栄養素なので、お酒好きな方は積極的に摂取したいですね。

ビタミンB₂

代謝を促進する作用、細胞の成長を促進する機能を持ちます。ダイエットを心掛ける人は積極的に摂取したビタミンですね。ほとんど尿中排泄され、体内で貯蔵できないことから過剰摂取のリスクは低いので取り過ぎの恐れは低いとも言えます。

ナイアシン

ビタミンB₃ともいわれ、ビタミンB₁同様にお酒のアルコール分解を手助けする作用があります。水溶性ビタミンの中では比較的に熱や光などに強いですが、熱湯には溶けやすいです。体内でも必須アミノ酸のトリプトファンから生成できるのも特徴ですね。

パントテン酸

抗ストレスビタミン“とも呼ばれ、ストレスを和らげて代謝機能も向上させる機能を持ちます。ギリシャ語のパントテン「広くどこにでもある」という言葉に由来し、様々な食品に含まれているビタミンです。

ビタミンB₆

タンパク質をエネルギーに変えたり、筋肉や血液を作るサポートをするビタミンです。ビタミンB₆は、肉、魚、卵、穀物、豆類、ナッツ、バナナなどの食品に含まれています。

ビオチン

ドイツ語のhaut「肌」の頭文字をとってビタミンHと初めは呼ばれており、その後ビタミン₇、ビオチンと名前が変わっていった背景があります。肌とあるように、コラーゲン生成や皮膚粘膜や髪の毛のつやを保つ働きがあります。腸内細菌によっても生成されるビタミンです。

葉酸

赤血球やDNAをつくるサポートをするビタミンであることから、妊婦さんには欠かせないビタミンです。妊婦さんで不足が見られると、胎児の神経管閉鎖障害や無脳症のリスクがあります。ほうれん草やブロッコリー、アスパラなどに多く含まれているので積極的に摂取したですね。

ビタミン₁₂

赤血球の合成や神経を正常に働くようにサポートする働きがあります。認知症発症者の脳にはビタミンB₁₂が少ないことも報告されています。メコバラミンが医薬品として有名ですね。最近では医師主導治験において、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に係る適応で申請されたことも話題となっていました。

メコバラミンの高用量製剤について、日本において筋萎縮性側索硬化症(ALS)に係る適応で新薬承認を申請 | ニュースリリース:2024年 | エーザイ株式会社
エーザイ株式会社のニュースリリース「メコバラミンの高用量製剤について、日本において筋萎縮性側索硬化症(ALS)に係る適応で新薬承認を申請」を掲載しています。


ビタミンC

抗酸化作用を持ち、免疫力の向上やコラーゲンの生成などに関与します。熱にも光にも弱く、ビタミンCを多く含む野菜や果物は切ると酸化しやすいので、摂る際には切ったまま放置しないことに注意!!

2.脂溶性ビタミン

脂溶性ビタミンには、ビタミンA、D、E、Kが含まれます。体内で脂肪と共に吸収されるビタミンの一群です。これらのビタミンは脂肪と一緒に消化管から吸収され、脂肪組織や肝臓に蓄積されるので、過剰摂取には注意が必要です。油に溶けやすく、熱に強い特徴があるので、炒め物にすると吸収率が向上します。

ビタミンA

視覚、免疫機能、細胞成長などに重要な役割を果たしています。人参などに代表されるβカロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されるプロビタミンAの一種です。プロビタミンAはビタミンA不足時に変換されるので、基本的に取り過ぎの心配がない優れものです。

ビタミンD

カルシウム吸収を促進し、骨や歯の健康を維持します。カルシウムの吸収をサポートすることからカルシウムと一緒に摂取するとよいとされています。また、日光にあたると体内で生成できる珍しいビタミンでもあります。ビタミンDは花粉症など各種アレルギーにも効くという報告もあるそうです(これはいつか取り上げたい)。

ビタミンE

抗酸化作用があるので”アンチエイジングビタミン”などとも呼ばれ、細胞を酸化ストレスから守ります。血行を良くする働きもあり、冷え性改善にも期待が出来ます。

ビタミンK

止血ビタミン”とも呼ばれており、血液凝固に不可欠のビタミンであり、骨の健康にも関与します。モロヘイヤや納豆に多く含まれるほか、腸内細菌によっても合成されます。

ビタミンの健康への影響

上記で各ビタミンの特徴をまとめました。簡単にですが、機能ごとに整理していきます。

  1. 免疫機能の強化:
    • ビタミンCやビタミンDなどは、免疫機能を向上させるために重要です。特に、風邪やインフルエンザなどの感染症から身を守る役割があります。感染症が多く流行る冬は積極的に摂取を心掛けていきたいですね。
  2. 骨や歯の健康維持:
    • ビタミンDやビタミンKは、カルシウムの吸収や骨の形成に不可欠です。適切な量を摂取することで、骨密度を維持し、骨折リスクを低減することができます。
  3. 抗酸化作用:
    • ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEは体内の酸化ストレスから細胞を保護し、老化や慢性疾患の予防に役立ちます。覚え方はビタミンエース(ACE)!!
  4. 代謝機能のサポート:
    • ビタミンB群は、エネルギーの生成や代謝機能の調整に重要な役割を果たします。特に、ビタミンB₁₂は赤血球の生成に不可欠です。

ビタミンの不足と過剰摂取

ビタミンの不足は、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

例えば、ビタミンCの不足は壊血病や免疫機能の低下を引き起こすことがあります。航海時代、長期間の船旅で新鮮な果実が不足しがちで歯茎の出血などといった壊血病が多く見られたそうです。

ビタミンB₁不足による脚気も栄養学界隈ではメジャーな疾患ですね。日本人がお米に含まれるオリザニンという成分であることを突き詰めています(残念ながら発見の翌年にポーランド人の研究者がビタミンと名付け、世界的にはこちらのがメジャーになってしまっています)。

ナイアシン不足ではペラグラと呼ばれる皮膚炎が起こることがあります。

脂溶性ビタミンであるビタミンAは肝臓に多く貯蔵されていきます。過剰摂取は、頭痛やめまい、骨折のリスク増加などの健康問題を引き起こす可能性があります。一方で不足すると夜盲症の恐れがあるので注意が必要です。

ビタミンの摂取方法

ビタミンは、多くの場合、バランスの取れた食事から摂取することが推奨されます。日常的な食事で十分な量のビタミンを摂取することができない場合は、マルチビタミンサプリメントなどのサプリメントを利用することも考えられます。ただし、サプリメントは栄養補助食品として摂取するためのものであり、過剰摂取には注意が必要です。

総括

ビタミンは、私たちの健康に不可欠な栄養素であり、さまざまな身体機能に影響を与えます。バランスの取れた食事や適切なサプリメントの摂取を通じて、ビタミンの適切な摂取を心がけることが重要です。健康的な生活を送るために、ビタミンについての知識を深め、バランスの取れた食生活を心がけましょう。

このように、ビタミンは私たちの健康に欠かせない栄養素であり、適切な摂取が重要です。健康的な生活を送るためには、ビタミンについての理解を深め、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。

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